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最高裁判所大法廷 昭和23年(れ)424号 判決 1948年12月27日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人高垣憲臣の上告趣意について

被告人は昭和二一年五月六日勾留せられ、同月二九日保釋せられたことは記録上明白である。從って右勾留による拘禁は、日本国憲法施行以前に既に終了したのであるから、右拘禁を以て、日本国憲法第三四條に反するものと主張する論旨は、憲法に遡及の効果を認めんとするものであって、法律上、根據のないところである。のみならず、勾留處分の違法不當に對しては、別途に救濟の方法によるべきであって、右は第二審判決に影響を及ぼさないこと明白であるから、これをもって、上告または再上告の理由とすることはできないのである。(昭和二三年(れ)第六五號事件、同年七月一四日宣告大法廷判決參照)論旨は理由がない。

よって刑事訴訟法第四四六條に從い、主文のとおり判決する。

右は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上登 裁判官 栗山茂 裁判官 真野毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)

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